人が死ぬ物語はあまり好きじゃない。漫画でも小説でも、どんな媒体でも。人が死ぬのは現実だけでお腹いっぱいだ。変な事件とか、終わりの見えない戦争とか。うんざりしてしょうがない。
確かに死というものは現実を端的に表せるものなのだろうと思う。死のない世界は現実的じゃない。誰もが永遠に生き続けるのだとしたら、それはファンタジーでしかない。死があるからこそ、生をより浮き出すことができる。
ただ人が死ぬことが現実的だというのなら、現実感のある作品は好きじゃないということになるのかも知れない。けれども、現実感を出すためには色々な手段がある。人物を死なすというのはその中のたった一つの手段でしかない。たぶん、現実感を押し出すための手段として人物を死なす作品が好きじゃないのかも知れない。
現実感があるかないかは別として、せめて空想の中でだけはのんびりしたいなあと思う。したいなあ、と言うか、させて欲しいな。現実でもあれこれ忙しいのに、架空の物語の中でも現実を追わなければならなくなれば疲れてしまうから。